■最初の注意書きの要約
・CQに限らず、ヴイアラの曲はキャラソンっぽい性格を持っているよ！
・曲解釈のついでにキャラクターとしてのヴイアラの3人も考察していくよ！
・しょせんオタクの妄想だから、考察内容は本人とはかけ離れてるよ！ だから「エアプ」とつけているよ！
・オタクが私見100%で語りたいこと語ってるから、不快に思う部分があるかもしれないよ！ 見る人は注意してね！ まあないと思うけど演者は特に注意してね！
・ということが書いてあるから、読むのが面倒なら「■上水流宇宙という女」から読んでね！
■はじめに
2025年4月現在、ヴイアラの曲は「キャラソン」的な性格を強く持っていると感じています。このエントリでは、「曲に散りばめられたアイドルたちのイメージと、普段の配信から受ける印象やエピソードを拾い上げ、【共同幻想としての、あるいはパブリックイメージとしての◯◯（アイドル名）の内面】を考察する」という試みを行いたいと思います。
■エアプ上水流宇宙とは？
最初からなんなんですが、曲はしょせん、曲に過ぎません。言い換えるなら「曲から連想される上水流宇宙」は、あくまで作詞家、作曲家がイメージした「上水流宇宙」であって、本人そのものではありません。また、当然ですが、アイドルたちは配信で、自分のすべてをさらけ出しているわけでもありません。ですから、この試みによって構築されたアイドル像は、実物とは大きくかけ離れたものになるでしょう。
私は、こうした「本人から切り離されて構築される虚像」を「理解の浅い、しょうもない個人の妄想」という意味をこめて「エアプ上水流宇宙」と呼ぶことにしました。
■注意
私はこれでも、例えば月次評価や中間評価を行う際には、極力「あらゆる行動について、ポジティブな受け止め方や解釈をする」「可能な限り、強い表現を避ける」「ふざけない」ことを心がけてきました。しかし、今回は個人の考えをまとめるためのエントリであるため、「演者たちが読んでも大丈夫な内容」という考えは捨て、時におふざけや茶化しを入れながら、今の考えを素直に書き残そうと思っています。
そのため、万が一にもこのブログに辿り着き、億が一にも「読んでやるか」と思っている演者がいるのであれば、ここでブラウザを閉じることを推奨します。
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■上水流宇宙という女
さて、みなさんは「上水流宇宙」と言われて、いったい何を思い浮かべるでしょう？ 色々なイメージがあると思います。例えば、ダンスが得意、わがままお嬢様、オタク語り、絵がうまい、高レベルで何でもできる、高音の歌が綺麗、楽しそうなところが好き、etc……。
私の上水流宇宙のイメージは、「透明な存在にされることを、異常に恐れている女」です。
■CQ
今回、歌詞を見ていく「CQ」という曲は、#ヴイアラのアルバム「彼方」に収録された曲です。皆さんは、この曲からどういうイメージを受けるでしょうか？ 私が感じ取ったのは、やはり「孤独」や「渇望」というイメージです。
「彼方」収録曲はユニット曲ですが、それぞれモチーフとなるアイドルがいるそうです。誰がどの曲のモチーフかはぼかされていますが、「CQ」は宇宙が自分で言っていたので、上水流宇宙モチーフで確定と考えていいでしょう（SHOOTING STARレトラモチーフ説については、SHOOTING STARの時に考察します）。
個人的には、「彼方」収録曲は「ソロ曲を3人で歌っている」という印象です。歌割りにもそれなりに意味はあるのでしょうが、歌割りごとに「この部分は愛夏の物語、この部分はレトラの物語、この部分は宇宙の物語」と解釈していくよりは、「CQ＝宇宙の物語」と考えた方が、わかりやすいと感じています。
さて、ではその前提で「CQ」の歌詞を見ていきましょう。
＞心臓が鳴らす0と1～ずっと苦しくて寝れやしない
歌詞を見て感じたことは、この曲は「公転周期/裏」または「公転周期if」とでもいうべき内容だな、ということです。この「寝れやしない」の部分もそうで、公転周期の冒頭でも宇宙は眠ることができていませんでした。そのときは（私の解釈では）ファンとの交流によって不安を和らげていた宇宙ですが、残念ながら「CQ」ではまだ、そういう相手は存在しません。
＞僕らの孤独な星間飛行
上水流宇宙に対して、普段の配信から、どちらかというとポジティブな印象を持っている方も多いのではないでしょうか？ しかし、「クライヤ」でも描かれているように、彼女には思い詰めやすく、非常にシビアな一面も存在しているように思います。
「孤独な星間飛行」とは、そんな彼女の「シビアな一面」、つまり「上水流宇宙が思い描く理想」への旅路を連想させます。候補生時代から宇宙を見ている人間なら、彼女がそこに到達することに、執着とも呼べるほどの情熱を持っているということは、多かれ少なかれ察するところだと思います。彼女の情熱は周囲に理解されず、その情熱ゆえに、彼女は理想に追いつけない自分自身を嫌悪します。「理想の姿」への旅路において、彼女の味方は一人もいません。「上水流宇宙」すら、彼女の味方ではありません。
＞がらんどうの部屋に鼓動～また息をする
「部屋」というイメージは公転周期でもありましたが、エアプ上水流が本当の自分を出せる瞬間というのは、睡眠前、暗い部屋のベッドの上だけだったのかもしれませんね。彼女のいるひどく殺風景な「部屋」は、自分の鼓動の音すら聞こえてきそうなほどの静寂に包まれています。その部屋で、彼女は息をするのも忘れるほど必死に、救難信号を打ち続けます。
＞電波は絡まって～明日を願うように 放つ夜空の果て
彼女の発する信号は弱く、いつしかそれは雑音まみれの、か細く不確かなものになってしまうかもしれない。それでも、自然とあふれだす想いを、彼女は止めることはできません。「私はここにいる」という、ただそれだけの自己主張。それは、「見つけて欲しい」という願いですらありません。旅路の途中、自分自身の存在すらあやふやになってしまいそうな孤独の中で生まれた、控えめで、切実な願い。それを誰かが受け取ってくれるという、何百万分の一の可能性を信じて、彼女は今夜も、遠く「彼方」に発振を続けます。
＞CQCQ 応答願う～ここに、いるよ
彼女が見上げる夜空には、ただ闇が広がるばかり。誰もいない夜空に向かって叫んだところで、当然返事はありません。しかし、それでも彼女が発振を辞めることはありません。ちなみに、ここは1stライブで、宇宙による悲痛なほどの感情をこめた「ねえ！」という呼びかけがあったポイントです。彼女にとって一番つらい時期は、この時期だったのかもしれませんね。
＞明滅してる窓の向こう 煌々と光る星が ずっと眩しくて寝れやしない
窓の向こうには、彼女が目指す「星」がまばゆい光を放っています。いまだ何者でもない彼女にとって、その星の輝きは眩しすぎるほどです。その光を眺めて、一体彼女は何を想うのでしょうか？ 憧憬、嫉妬、羨望、羞恥、焦燥……さまざまな感情がないまぜになり、寝ることすらできません。
＞へびつかい座行きの流星を追う飛行 迷わないよう 手を伸ばすのに
星座占いなどで使用される十二星座は、太陽の通り道に存在する星座です。しかし、実際には、太陽の通り道には13の星座が存在します。この13番目の星座が「へびつかい座」です。まるでPROJECT IM@Sでありながら、「アイドルマスター」としては数えられないヴイアラを思わせるような星座ですね。
※「彼方」リリースイベントにて、コンポーザーの烏屋茶房さんから、「へびつかい座行きの流星」とはボイジャー1号のことであり、CQは「VOY@GER」の対になる曲、という解説がありました。
＞電波は絡まって～君の声を 聞かせて
彼女は繰り返し、何度も何度も発振を続けます。しかし、その発振は以前のように、ただ必死に、虚空に向けて放たれるものではありません。まだその声は聞こえなくても、その姿は見えなくても、「誰か」が彼女に気づいた。そんな、不思議な予感が彼女には生まれたのかもしれません。彼女はその予感を信じ、星空の「彼方」に「誰かの声」を探します。
＞CQCQ 応答願う～「大丈夫、君はそこにいる」って ねえ、確かめ合うため
例えお互いの声が届かなかったとしても、彼女は何度でも呼びかけます。ここは正直、彼女が旅路の途中で出会った「仲間」とお互いの存在を確かめ合っているとも取れますし、公転周期でいう「瑠璃色の画面越しの向こうに 触れない」のあたりと同じように、ファンと上水流宇宙が、夜空という超えられない壁を挟んで、お互いに想い合っている、好意を循環させている場面という風にも取れますね。
＞僕達は孤独な漂流船～自分をレゾンデートルを探してる
「レゾンデートル」とは、「存在理由」や「存在意義」を意味する哲学用語です。前述の通り、彼女は長い旅路の中、いつしか目指していたはずの場所を見失い、深い孤独の中で漂流するだけの存在になっていました。気を緩めたら最後、自分の存在理由すら曖昧になってしまいそうなその孤独の闇の中で、彼女は必死に最後の抵抗、つまり「発振」を続けます。
＞救難信号は この夜空に瞬いて
彼女が自分の存在意義を証明するため、必死に放ち続けた救難信号は、いつしか瞬く星のように、美しく夜空を彩ります。その輝きは、きっと見るものを魅了し、感動させることでしょう。
＞CQCQ～ここにいるよ
彼女は、いまも歌い続けています。自らの存在意義を証明するために。この声を、あなたに届かせるために。
■エアプ上水流宇宙への考察
冒頭で、上水流宇宙のイメージを「透明な存在にされることを、異常に恐れている女」だと言ったことを覚えていらっしゃいますでしょうか？ これは、宇宙が時折見せる、異常なまでの向上心や熱意、自分への厳しさから来ています。
こうした向上心、熱意、厳しさを垣間見せると、必ず言われるのが「俺らは褒めてるよ」的なやつです。エアプ上水流も、自分がリスナーに応援される、幸せな立場だということは十分に承知しているはずです。
しかし、考えてみてほしいことがあります。
そもそも皆さんは、上水流宇宙を知っていましたか？
ヴイアライヴに参加したあとの話ではなく、参加する前の話です。
本人の話では芸歴10年、2.5次元の舞台に立ったり、アイドルグループとして活動してみたり、教材ビデオの子役として出てみたりしていたわけです。しかし、それを聞いて「あ、もしかして見たことあるかも！」となった人って、いますか？ 少なくとも、私はそういう話は聞いたことがありません。
これはつまり、エアプ上水流宇宙は、人生の半分以上の時間において、憧れのスポットライトをすぐそばから眺める側の人間だったということを意味します。
あれだけしっかりした自己設計があり、理想とする自分を描けていて、そして年相応以上の自己顕示欲を持っている（そうでなければ、アイドルや役者なんて目指しませんよね）エアプ上水流宇宙にとって、それは非常に辛い期間であったことは想像に難くありません。
「スポットライトが当たらない」ということは、極端な言い方をすれば「自分がいないものとして扱われる」ということなのかもしれません。自分は確かにステージに立っているのに、観客の視線が注がれるのは、スポットライトの中に立つ人にだけ。どれだけ努力しようとも、競争に負ければ（＝スポットライトの当たる場所に立てなければ）、観客に評価はされません。エアプ上水流の根底には、こうした経験によって刷り込まれた恐怖心があるのかもしれませんし、もしそうだとするなら、たかだか2年程度の経験でそれが払拭されるというのは、いささか物事を簡単に考えすぎかなと思います。
思えば、候補生の頃から宇宙にはそういうフシがありました。どんな課題だろうとマンスリークイーンの1位を狙い、1位が取れなかったときは、自分の努力不足を深く反省していました。これは順位に貪欲だったと言うより、「1位を取れない自分に存在価値がない」と考えていて、必死に自分の存在意義、存在理由を証明しようとしていたからだと考えると、納得がいくように思います。
こうして考えていくと、2023年9月の公式回後半で、エアプ上水流が「レトラに泣かされた」と言っていたことにも、「君の一等星で泣いた」と言っていたことにも、なんとなく理解が深まりますね。
2023年9月後半回のレトラ10分PRでは、……と、内容を改めて確認しようと思ってレトラのPRを見返したんですが、私が思っていたよりだいぶ「エアプ上水流」の過ごしてきた人生と被るところがあるな、と感じました。どこがどう、と言葉で説明するのは逆に難しい気がするので、CQの歌詞と向き合ってから、9月後半回のレトラパートを見返してみてください。
そして、レトラのPRでは、当時の「エアプ上水流宇宙」が足踏みしていたであろうその地点から、レトラ自身は一歩先に進みだしている、ということが表現されています。これを見てしまったなら、当時のエアプ上水流には確かに深く刺さるだろうな、と思わせられます。
そして、レトラ自身が、自分の経験を元に、同じような境遇の人間に寄り添おうとするのが「君の一等星」であるなら、それがエアプ上水流宇宙に刺さらないわけがないんですよね。長年謎だった、「なぜエアプ上水流はやたらとレトラに懐いているのか？」という疑問に、ある種の答えを得たような気がします。
同時に、こうして考えると、9月後半回の愛夏は、確かにラストの宣言で番組自体を助けたことは確かなのですが……私があれをやられたら、「なに人を踏み台にしてスポットライト浴びてんねん」と思ってしまうかもしれません。愛夏が悪いわけではありません。この物怖じしなさこそが愛夏の武器なのですから。しかし、それはそれとして、心情的に「踏まれた」という気持ちは残ってしまうかなと。まあ、当時のエアプ上水流がどう思ったかは、私には想像もつきませんが。
■最後に
何にせよ、今はエアプ上水流宇宙も、立派に輝く星になりました。いまや彼女は紛れもなく、スポットライトの中の住人です。常に完璧を目指し努力する、彼女の未来が、満足行くものでありますように。
次は、「「FIELD ON ME」から読み解く、エアプ灯里愛夏解体新書 2025年4月」でお会いしましょう。
■余談
今回のエントリを書いている最中、ふと、以前に読んだツイックス漫画のことを思い出しました。「チ。」で一躍有名になった魚豊先生の、有名になるちょっと前くらいの作品です。スポットライトの中の住人をそばで眺める、脇役の「意地」の物語。面白いので、ぜひ読んでみてください。
https://x.com/uotouoto/status/1101483651315822592
以上。
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