「君、影薄いね」と貴方は言った

ネットの片隅に生きるだらだらしたフォーブログ

「揺らぎと願い」解釈に関する超個人的な雑記

・率直な感想

「一連の解釈を繋げたとき、前後に違和感のない「ひとつの物語」になるように」というコンセプトで解釈をしていた。なので、(自分の中では)全体を通して大きく破綻のない物語を作ることができてよかったと思う。

 

 このコンセプトを維持しながら、毎週、解釈を投稿していくのは、かなり難易度が高かった。いつ「いや~先週の解釈はぜんぜん違いましたね笑」となるかと思ってひやひやした。

 

 あと、解釈はできるだけドライに行おうと思っているのだが、解釈を連続すると自分の世界観が強固になっていって、どんどん解釈や文章が気持ち悪くなる。最後に6曲分を一気につなげて解釈した方が、もう少しドライな目線で見れたかもしれない。

 

・解釈の正確性

 そんなものはない。

 この6曲から、どんな「揺らぎと願い」の物語を読み取るかは人それぞれ。それがどんなものであれ、それは解釈した人だけの、世界にひとつしかない物語。大事にしよう。

 

・難しかった解釈

 後半は全部難しかったが、一番苦労したのは「鬼ノ宴」。

 基本的に、解釈は以下の手順で行っていた。

 

1.曲が発表された時点で歌詞を調べ、原曲を聞く。

2.自分の中で構築している物語全体のストーリーラインやレトラ像と照らし合わせ、「こうだろう」という予想を立てて9割以上を事前に書き上げる。

3.歌ってみたが発表された時点で「歌唱やMVから受けたイメージ」を参考に軽く手を入れる。

4.投稿(その後も読み返してはちょくちょく手を入れる ←カス)

 

 鬼ノ宴は原曲からイメージしていた表現と、レトラカバーで表現されるイメージが(根底にあるストーリーは同じだったものの)かなり違い、書きかけのものを破棄して書き直した。めちゃくちゃ苦労した。

 

・自分しかわからないドヤポイント

ヒッチコック」では、自由に生きようとするレトラを、つまらない大人(=両親)が、あれやこれやと「正論」を言って縛り付けようとする(「両親」としたのは、2023年9月回でのイラストや、普段のレトラトークから判断した)。

 

 一方、「鬼ノ宴」では、仏=レトラの良心が、自由に生きようとするレトラを抑圧する。

 

 別に意識したわけではなかったのだが、「両親と良心がかかってるじゃん笑」とひとりで面白くなっていた(こういう対称性もあり、「曲が対になっている」という発想が出てきた)。

 

 あと、かつてあれだけ反発していた両親の言葉が、レトラの良心、フロイトのいう超自我(スーパーエゴ)を形成しているというのは、なかなか皮肉が効いているなと思った。

 

・物理学

「揺らぎと願い」を解釈しようとしたときのこと。

 

 私は解釈を行うとき、イメージをふくらませるために、聞いたことがある単語でも意味を検索することがある。たとえば、「シャルル」だったら「いがみ合う」ってどんな意味なんだろう? 許しあうってどんな意味なんだろう? カタカタカタッターン! という具合に。

 

 そんな感じで「ゆらぎ」を検索したところ、これがまともに意味が出てこない。というか、物理学用語が大量に出てくる。

 

 このときの私は、

 

・「揺らぎと願い」を前3曲、後3曲で分けられること

・前3曲の順番と、後3曲の順番が逆になっていること(詳細は「折り返し構造」から考える~のエントリをご覧ください)

 

 この2つには気づいていた。なので、「ゆらぎ」を振り子運動的なものだと仮定していた。「まあ……物理学か」。しかも、よくよく調べると「ゆらぎの定理」という単語まで出てくる。「これか?」となったわけである。

 

「ゆらぎの定理」で検索すると、今度はヨビノリたくみの動画が出てくる。しかし、これが難しい、というか手に負えない。そもそも、動画にしても「予備校のノリ」とかでは全くなく、どこかの研究室でゲスト講義をしたときの動画だったので、私に理解できるわけもない。

 

 動画や、様々な解説を見ながら、ようやく小指の先が触れる程度にイメージはつかめたが、今度は「別に解釈の役には立たない」ということがわかってしまった。まあ、「そういうものがある」と知れたことはよかった。

 

・また解釈をやりたいか?

 面白くはあるので、機会があればやりたいと思う。

 しかし、今回は比較的、イメージしやすいテーマ(レトラの半生)だったからやれた、というのはある。これが全くオリジナルのテーマだったら、同じように解釈を続けていくのは不可能だと思う。

 

 あと、単純に1本書くのに4時間以上は平気でかかる。私は、文章を書くときに音があるとまったく集中できないタイプなので、普段の趣味やゲームはおろか、配信を見ることすらできなくなる。これがけっこう大変だった。

 

・最後に

 ほとんどの原曲は知らなかったが、どの曲も素晴らしい曲だと思ったし、もちろんカバーもとても良かった。

 

 レトラのカバー曲全体で感じることだが、レトラの解釈は「原曲が持つイメージ」をあえて意識していないように思う。最初の頃は「曲を聞きこむと(歌い方が)原曲に引っ張られる」と言っていたはずだが、今もそうなのだろうか?

 

 6曲の中で気に入っているのは、個人的に完成度が高いと感じている「ヒッチコック」、歌唱として好きな「鬼ノ宴」、メッセージ性の強い「シャルル」。何だかんだ、少し暗い話は好きなのであった。

 

 ともあれ、お疲れさまでした。