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「君、影薄いね」と貴方は言った

ネットの片隅に生きるだらだらしたアラサーブログ

「あの人が電子書籍を出したんだって!」「で、どのリーダーなら読めるのさ?」(電子書籍についての軽いまとめ) 後編

 というわけで、電子書籍についての軽いまとめの続きです。
 前回の記事はこちら。

「あの人が電子書籍を出したんだって!」「で、どのリーダーなら読めるのさ?」
(電子書籍についての軽いまとめ) 前編
http://blue876.hatenablog.com/entry/2012/02/28/190156

 前回の最後で予告した通り、今回は電子書籍の取り扱い店や電子書籍自体の問題点について、ニュースを交えつつご紹介したいと思います。

2.電子書籍の取扱店

 さて、電子書籍ですが、これはもちろん自炊しないのであればお店から買うしかありません。 
 では、どこのお店で、どうやって買えばいいのでしょうか?



 代表的な電子書籍販売店は、前回の記事でもあげた紀伊国屋や楽天イーブックストアがあります。

紀伊国屋書店BookWeb 電子書籍コーナー
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html

 紀伊国屋のWebサイトには電子書籍を購入できるコーナーがあります。
 流石に紀伊国屋だけあって、品揃えはなかなか豊富です(現在の数はちょっと探せませんでしたが、2011/10時点で20000点ほどだそうです)。

 紀伊国屋で購入した書籍は、Sonyの「Reader」か、独自のアプリKinoppyを利用する事により、読む事が出来ます。
 KinoppyはiOS、Android双方で使えるアプリです。
 また、Kinoppy for PCを利用する事により、買った書籍はPCでも閲覧する事が出来ます
 これはなかなか重要な要素です。というのも、電子書籍の中にはPCで閲覧出来ないものがあるんですね。

 Kinoppyで購入した電子書籍は、一部を除いて(岩波書店角川グループ、講談社、ぶんか社は一年以内ならという条件があります)何度でも再ダウンロードできるようです。
 端末の容量が逼迫した際には助かる機能ですね。

 また、Kinoppyを通じて紙の本を購入することも出来ます。1500円以上で送料無料です。

・楽天イーブックストア「Raboo」
http://ebook.rakuten.co.jp/

 楽天の電子書籍ストアです。
 品揃えは紀伊国屋同様そこそこありますが(現時点で3万点超のようです)、ここで購入した商品はSony「Reader」かPanasonicの電子書籍タブレット「UT-PB1」からしか読めません。
 はっきり言って、UT-PB1は高すぎて(29800~34800円)検討に値しないので、実質Reader専門のストアと言っても過言ではないでしょう。

 上記のような理由から、あまり使い勝手のいいストアとは言えません。 
 現状の、もしくは「とりあえず電子書籍を試してみたい」という潜在的ユーザーは、基本的にスマートフォン、あるいはiOS or Androidタブレット使用者であろうという事を考えると、電子書籍購入先の選択肢からは自然と外れてしまうかなという印象です。

・ebookjapan
http://www.ebookjapan.jp/ebj/index.asp

 現状、日本では最大のコミック取り扱い数を誇る電子書籍ストアです。
 販売数は55369点(12/3/1現在)で、総合図書ではビジネス書や文芸書の取り扱いもあります。
 あと、なんかエロ本も買えるっぽいです。ウヒョー。

「いつ何の本が追加予定か」を気軽に見れるのは結構ポイントが高いですね。

 ここも、書籍を閲覧するには専用のアプリ(iOS、Android、Windows対応)ebi.BookReaderが必要になります。
 これはどの電子書籍ストアでも言える事なのですが、その「店」ごとの専用アプリが必要になる場合が多いです。多少面倒ですが、まぁ、現実でも紀伊国屋があり、TUTAYAがあり……みたいな感じでお店は分かれているものですし、そういうものだと思ってください。

 ここも嬉しい事に、PC用のアプリをダウンロードすればPCでも電子書籍が読めるようです。
 また、トランクルームというストレージサービスを利用できるようです。

 しかし、この店はReaderには対応していませんので、Reader購入を検討されている方は注意が必要です。

・電子書店パピレス
http://www.papy.co.jp/act/top/nifty/

 日本最大の電子書籍ストアです。
 1995年から運営されている老舗で、400社を超える出版社の取り扱いがあるのですが……ファイル形式が結構ばらばらなのが難点です。
 ファイル形式がばらばらだという事は、閲覧方式もばらばらだという事です。

 また、スマートフォン・タブレット対応は2011年11月頃からようやく行われ始めたようで、手軽にスマフォやタブレットで閲覧というのは問題があるようです。そのような状況ですから、もちろんReaderには対応していません。

 逆に言えばPCでは殆どの書籍が閲覧可能という事なので、まぁ、PCで見れれば別にいいという人はパピレスを利用しておけば間違いはないでしょう。

 姉妹店として電子書籍のレンタルストア「Renta」があります。
 Rentaは「1枚100円のチケットを買って、必要なチケットを払い、48時間ファイルを閲覧する権利を得る」という方式なのですが、3枚くらいチケットが必要な場合が結構あるので、あまりお得感がないような……まぁ、元の値段が結構する本なのかもしれませんが。

・BOOK☆WALKER
http://bookwalker.jp/pc/

 ライトノベルやコミックを中心にした電子書籍ストアです。 
 また、珍しい事に(?)ゲームの攻略本なども取り扱っています。
 金曜日にはファミ通が読めたりします。

 似たようなストアとしては、既にebookjapanをご紹介していますが、向こうはライトノベルは取り扱っていないのに対し、こちらはライトノベルを前面に押し出す形となっています。

 また、「~記念で~文庫の電子書籍が一冊150円!」のようなセールを定期的に行っており、お得感が高いです。

 が、BOOK☆WALKERの電子書籍には「PCで閲覧出来ない」という最大の問題点があります。
 購入した商品はiOSまたはAndroid端末でしか閲覧できず、そのためのアプリはアップデートされるたびにAppStoreでの評価が下がっていくという、なんとも言えない具合になっています。
 先日、FEAR製TRPGシステムのルールブックが発売されたので、頑張って欲しいのですが……。



 大体、ぱっと目に付く電子書籍ストアはこれくらいでしょうか。
 また、ニッチですがこういうストアもあります。

・ラブコミ.com
http://nifty.lovecomi.com/lovecomi-nifty/exec/top

「おんなの子のためのコミック専門サイト」という宣伝文句の通り、女性向けを専門に取り扱うストアです。なかなか面白い試みですね。

フランス書院
http://www.france.jp/servlet/Satellite/f/index.html
フランス書院 美少女文庫
http://www.france.jp/servlet/Satellite/b/index.html

 エロ本を読もう、な!(迫真)



 現状ではストアによって、PCで読めたり、読めなかったり、Readerに対応していたり、いなかったり、むしろPCでしか読めなかったり、様々です。
 日本の電子書籍業界を複雑にしているのはまさにこの点で、この統一感のなさは、新規ユーザーに対して高い障壁でしかありません。

 今後、Amazonが日本電子書籍業界に参入してくる中で、こういった状態がどう変化するかは注目すべきところです。

 これから電子書籍をご検討されているのなら、

PCで読みたい方パピレス
PCや携帯端末、タブレットで楽しみたい方:紀伊国屋、ebookjapan
携帯端末でしか見ないという方:紀伊国屋、ebookjapan、BOOK☆WALKER
電子書籍端末(Reader)で楽しむという方:紀伊国屋、Raboo、(紹介していませんが)ReaderStore

 という感じになると思います。
 もちろん、このほかにも電子書籍ストアは多く存在しているので、興味がおありなら独自で調査して見るのも面白いかもしれませんね。

3.電子書籍の問題点

 電子書籍の利点とは何でしょうか?
 ぱっと考えると、

・場所を選ばず手軽に買える
・値段が(若干)安い
・収納場所に困らない

 等が挙げられると思います。
 個人的には特に「収納場所に困らない」という点を重視しています。

 というのも、僕は以前、結構な数のマンガやラノベを買い漁っていたのですが、これがただ漫然と買っているとかなりのスペースを食ってしまうわけです。
 そうすると、どんどん収納場所がなくなっていき、部屋に本が溢れはじめてしまいまして。
 それを片付けるのが面倒で、段々マンガやラノベから縁遠くなる……と、まぁ今の状態はこんな感じなわけです。

 そういった問題を一手に解決できる手段として、電子書籍に期待を寄せています。

 ですが、現状では多くの問題点を抱えているのも事実です。
 ここではその問題点を取り上げ、それに関わるであろう2012/3/1現在で電子書籍についてのニュースをご紹介していきたいと思います。



 何はなくともまず注目すべきなのは、前編でも軽く触れたこのニュースです。

米Amazonが電子書籍端末『Kindle』を4月国内発売へ、無料でドコモ回線を利用
http://appllio.com/news/20120211-1589-amazon-kindle-release-in-japan

 先ほども述べた通り、現状の電子書籍の問題点としてまず浮かぶのは「統一感のなさ」です。
 これは、電子書籍業界に「スタンダード」がない事に起因しています。

 Amazonの発売するKindleは、現在電子書籍業界に欠けている「スタンダード」の地位を占める可能性を秘めています。

 何せ、米Amazonで販売されているKindleは、Amazonが取り扱う100万冊の蔵書を自由にDLでき、購入した商品を(ストレージサービスの容量が許す限り)いつでも自由に再ダウンロード出来るのです。

 電子書籍端末の魅力は唯一つ、「その端末でどれだけの本が読めるのか?」にかかっています。
 Amazonが日本の各出版社とどういった交渉をし、条件を取りまとめているかは定かではありませんが、「4月発売」に踏み切ったからにはそれなりに商品ラインナップを充実させたからだと見て間違いはないでしょう。

 但し、先に紹介したKindleの利点、つまり「安さ」は失われてしまう可能性があります。

Amazon、日本で4月にKindle Touchを発売予定
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1202/14/news062.html

 こちらの記事では、KindleTouch3Gが日本価格2万円で販売されると紹介されています。
 KindleTouch3Gはその名の通り、先にご紹介したKindle4の上位機種で、Wifiの他に3G回線を搭載したモデルです。そんなのどうでもいいから安くしてくれよ……と思うのですが、何か事情があるのでしょうか?(ただたんに「日本の電子書籍端末ってたけぇからこれでも売れんだろww」と思われてるように思えてならないわけですが……)。

 というか、アメリカでは150ドル程度のはずなので、1ドル=80円換算にしても値段が合わないような……うーむ。

 また、個人的には、AndroidタブレットであるKindkeFireきてくれと思うのですが、今のところ公式では特にコメントは無いようです。残念。



 さて、それなりに商品ラインナップを充実させたからだと見て間違いはないと言いましたが、それが僕の適当な見立てでないという事の裏づけとして、次の記事をご紹介します。

電子版同時発売可能に=講談社
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201202/2012022000779
> 講談社の野間省伸社長は20日の記者会見で、著作権者の承諾が得られた全新刊書について、紙の本の刊行と同時に電子書籍を配信できる態勢を、6月からスタートさせると明らかにした。

 電子書籍の欠点の一つとして、「刊行時期の遅さ」が挙げられます。
 例えば、前編で例に挙げた「ちはやふる」ですが、今月、その最新巻である16巻が発売されます。
 しかし、電子書籍として買えるのは、現在7巻までです。

 このように、実際の本と電子書籍の販売時期には、致命的なズレがあります。
 電子書籍は常に、現実の本の後追いを続けているというのが現状です。

 このニュースは、その致命的なズレが修正される可能性がある事を示唆しています。
 もっとも、本当に同時発売になるかどうかはまだ「検討中」との事ですが、こういった態勢を整える事自体、大変歓迎すべきニュースだと言えますね。

 AmazonのKindle発売と時を同じくしてこういったニュースが飛び出してくる事には何らかの因果関係があると考えるのは、僕の邪推でしょうか?

 邪推ならごめんね、えへへえへ。



 閑話休題。
 Kindleが発売し、電子書籍業界が大きく動くであろう4月に向けて、意外なところも動き始めています。

セブン&アイ、3月から電子書籍事業を開始へ
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1202/29/news042.html

 セブンイレブンいい気分になりやがってこの野郎なセブン&アイも、3月から電子書籍業界に参入します。
 セブングループは既にセブンネットショッピングを抱えていますが、そちらで電子書籍の販売を開始するという事のようです。日経の記事では3月から4万5000冊のタイトルを販売するようで、かなり大型の参入になりますね。

 そのセブンネットショッピングですが、早速電子書籍の販売が始まっていました。

セブンネットショッピング・電子書籍・コミック
http://www.7netshopping.jp/dgbooks/

 まず目に付くのが「7net先行配信!池上彰の相手に「伝わる」話し方」という文字ですね。
 こういった企画が出来るのは大手の強みですね。
 電子書籍ストアが乱立する中で、こうした「先行配信」のような独自の企画を行えるのは、大きなアドバンテージになると思います。

 また、記事中では「セブンイレブンの店舗内に設置されている公衆無線LANにアクセスした場合にのみ購入できるオリジナルタイトルなどの販売にも注力」ともありますね。

 セブン店頭のオリジナル雑誌と言えば、小学館とタッグを組んで販売している「ヒーローズ」がある事は皆様ご存知だと思います。

セブン-イレブン 小学館とコラボ 専用の月刊漫画誌 11月1日創刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110919/biz11091922160007-n1.htm

 こういったコンテンツを電子書籍でも用意していくという事なのでしょう。
 これが成功すれば、「ジャンプを買いにコンビニに行く」と同じような感覚で、「セブン専売の電子書籍を買いにセブンに行く」というような時代が来るかもしれません。

 セブンが独自のWifiスポットを設置した事は、一時期話題になったので、記憶にある方もいらっしゃると思います。それに関する下記のような考察もいくつか見られました。

■セブンスポットはじまったな - (旧姓)タケルンバ卿日記(ご結婚おめでとうございます!)
http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20111130

 このエントリの中で、ルンバさんは「(Wifiスポットという)新たなサービス開始によって「セブンイレブンに行こう」という来店動機が増えるのも大きい」という話をされていますが、この電子書籍サービス、ひいては独自コンテンツへの注力は、まさにこの「来店動機」を増やす事に目標を定めた戦略だと思います。

 まさかこういった形でWifiスポットを利用するとは思っていませんでしたが……。



 また、間接的にも電子書籍業界を発展させるのでは? と目されているニュースもあります。

【出版】日販、本「買い切り」導入へ協議 出版社・書店と
http://pika2.livedoor.biz/archives/3864295.html
(日経記事リンク切れのため、2chまとめサイトへリンクしています)

 買い切りとは、まぁ簡単に言えば「今まで書店が行っていた、出版社への本の返品が不可能になる」とでも思ってください。

 この制度が出版業界全体に導入されれば、本屋は売れ筋の本しか取り扱いをしなくなる事は想像に難くありません。
 売れるか売れないか微妙な本は本屋もわざわざ入荷しないでしょうし、本屋が入荷しないとなれば、そもそも出版社も本を出すかどうかは怪しいでしょう。

 その点、電子書籍での出版ならば在庫管理面でのリスクは存在しないわけで、「電子書籍化が進むのでは?」との憶測が出ています。



4.最後に

 僕個人としては、電子書籍化はどんどん推し進めて行って貰いたいと思っています。
 電子書籍化の流れが進むのであれば、それが国内主導であろうと国外(というよりはAmazonという事になるでしょうが)主導であろうと構いません。

 とにかく、電子書籍のスタンダードをまず作って欲しい、その事を切に願います。
 現状でもある程度、電子書籍を利用する事は可能です(その場合の選択肢はiOSかAndroid端末になるでしょう)。
 ですが、乱立する電子書籍ストアでは「どこで何が売っているか」を見比べるのは非常に困難ですし、アプリごとに「棚」を管理しなければならない(現状では、A店とB店から買ってきた本を同じ棚で一括管理する事が出来ないのです)という煩雑さもあります。

 また、電子書籍ストアには「本との出会い」がありません。
 皆さんも書店へ足を運んだ際、表紙やタイトルに惹かれて買う予定のなかった本を買ってしまった……というような経験はないでしょうか?
 そういった出会いは、現状の電子書籍ストアでは望むべくもない事です。

 願わくば、2012年という年が、これらの問題になんらかの進展がある年になる事を願っています。

 それでは、今回はこの辺で!

※追記(12/3/1 13:40)

 と、書いた端から大きいニュースが飛び込んできましたね。
 我ながらタイムリーすぎて笑ってしまいましたが

角川グループ、Amazon.com(アマゾン)と「Kindle(キンドル)」向け電子書籍の配信契約を締結
http://www.shinbunka.co.jp/news2012/03/120301-01.htm

角川グループの全出版社がKindle向けに電子書籍を配信する契約を締結
http://gigazine.net/news/20120301-kadokawa-kindle/

 いくらか抜粋しますと、

>角川書店、アスキーメディアワークスエンターブレイン角川学芸出版富士見書房メディアファクトリーなどのグループ傘下の全出版社が契約を締結した。
「価格決定権」はアマゾン側が持つ。

>新潮社や学研ホールディングス、小学館も新刊の電子化を目指しているとのことで、2012年中には新刊が普通にKindleで読めるようになりそうです。

 というわけで、こうなるとやはり上の方で取り上げました講談社のニュースも、Amazonの影響という事になりそうですね。

 また、価格決定権をAmazonが持つ、というのも、大きなポイントになりそうです。
 何故なら、米AmazonではReaderStoreなどに比べて大幅に安い価格で電子書籍が販売しているからです。
 これはAmazonが、「電子書籍自体で利益を出すのではなく、そのリーダーに付随するサービスあれこれで利益を出す」という戦略を取っているためです。
 Kindleで新刊が読め、さらに安いとなれば、Kindle一人勝ちの体制となりそうです。

 ちなみに、記事中にもありますが、KindlePC・スマフォに対応したアプリもありますので、やはりAmazon強しという事になっていくのかもしれませんね。