「君、影薄いね」と貴方は言った

ネットの片隅に生きるだらだらしたアラフォーブログ

現実とネットの価値は等価になるのか?

 こういう記事を見ました。

『元気ですか!! 大晦日!! 2011』をニコニコ生放送で完全生中継決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111212-00000014-spnavi-fight

 2000円。
 この試合自体の価値がどれくらいなのかはさておいて、ネットで試合見る権利が2000円。まず最初に感じた事を率直に言うなら、「たけぇー」でした。いや、2000円は高い。うまい棒200本買えちゃう。PSアーカイブスなら3本買ってまだ200円余る。企業戦士の昼食一回500円なので、実に4日分ですよ。いやー、高い高い。
 ただ、この価格設定を批判したり、鼻で笑ったりする気にはならないんですよね。

 ここ数年、ニコニコは見ていないんですが、流れてくる情報をぼけーっと浅く見ていると、ニコニコの目標とするところって「現実とネットを等価にする」なのかなって素人考えながら思ったりしています。
 このチケットにしてもそうで、「ネットだから安売り」じゃなくて、普通に2000円のチケット買って試合を見に行く感覚でオンラインでも金を払わせよう、そう言う意識付けをユーザーにさせよう、と思っているのかな、と。
 こういう思想は、ニコファーレのデジタルフラワーサービス(http://www.hibiyakadan.biz/web/nicofarre/)なんかにも見る事が出来ると思います。
 一般ピーポーでオールド脳の俺にしたら、たかだか画面に表示される花輪に10500円なんて「はぁ? ふざけてんの?」ってなもんですが、真のデジタルネイティブ世代からすればデジタルで表示される花輪も、そのときだけ飾られてあとは捨てられる花輪も、等価だと認識するでしょう。むしろ、運搬、飾りつけ、そして片付けといった手間のかからないデジタルフラワーの方が、現実より優れていると感じるかもしれない。準備も楽です。ネットで金さえ払えばOK。それはとてもシンプルでわかりやすい。
 俺は旧式脳ですが、そうした「物の価値」の変動をむしろ歓迎したい、もっとどんどんオンラインに依存した社会になればいいと思っているので、こういう商売は否定は出来ません。むしろもっとやれ。
 もちろん、その価格設定に対して「ユーザーがどう感じるか」は別問題です。具体的に言うなら、さっきの2000円、これは俺は払えない。だって高いもの。

「じゃあ1000円なら?」
 まだ高い。
「じゃあ、500円なら?」
 うーん、暇なら見てもいいかな。

 今はそういう、「オンラインが現実を侵食する時代への過渡期」なんだと思います。オンラインを現実に浸透させようとするなら「オンライン上でのサービスの価値」を現実に近づけるのは道理ですし、さらに言えば「広告料を制作費にし、無料でコンテンツを提供する」現在のTV業界が終焉を迎えつつある以上、その「製作費」の部分は誰かが負担しなければいけない。誰が負担する? それはもちろん、そのコンテンツを求めるユーザーが、です。なので、このような試みはされて然るべきでしょう。

 話はちょっとずれるんですが、先日、所謂「歌ってみた」系の楽曲をiTunesで買う機会がありまして。一曲200円。これも率直に言えば「えっ?」ってなりますよ。
 というのも、iTunesって大体、一曲辺り150円〜200円で販売しているわけですが、Beatlesも一曲200円。安室奈美恵も一曲200円。そこに並んで、まぁ、ちょっと悪く言えば素人に毛が生えたようなもんが200円で並んでいるわけですよ。第一印象としては「あれ、150円じゃないんだ?」ですよ。頭固いですから。というか、ニコニコいけば同じものが動画であったりするんですよ。それが200円。うーむ。
 と、思ったりしたのですが、まぁ、買っちまいました。半分は面倒くさいというのもあり、残り半分は投資という部分もあり。
 僕は結構妄想癖があって、やがて来るだろう「真のデジタル世代」では、気軽にアマチュアが作詞・作曲をし、歌い、成果物を販売する、まぁ要するに「プロとアマの垣根は限りなくなくなるだろう」という妄想をしていまして。まぁ、それへの投資です。こういうので金使っていけば、将来的に自分の妄想が現実になるかも知れない、という可能性に対しての投資。そういうと格好いい気がしますね。ヒュー! 
 ちなみに、歌だけでなく、メディアに関してもそうなればいいと思っています。誰もが「受け手」になるばかりでなく、志せば「発信源」になれる時代。そういう時代の可能性を、ニコニコに見ているんですね。

 そんな考えもあって、さっぱり見ることもなくなったニコニコに相変わらず500円課金し続けているわけですが、その結果出来上がったものが旧時代の遺物のようなニコファーレでは、ちょっとがっかりかな、と感じたり。うーむ。

とうとう二次元を侵食するAKB48を、もはや我々は笑うことは出来ない!

 AKB48アニメの設定が徐々に出始めてきましたね。

AKBアニメのストーリーがやばいwwwマクロスみたいで面白そう (萌えオタニュース速報)
http://otanews.livedoor.biz/archives/51845581.html

 これ、公開された当初からめちゃくちゃ興奮して「これマジ面白そう、この設定考えた奴は間違いなく天才!」と力説しているのですが、半笑いで「ハハッ」みたいな反応しか返ってこなくて寂しいです。
 だって「超銀河アイドルチーム」ですよ? 「非合法アイドル」ですよ? 「『会いに行けるアイドル』から『会いに行く(ていうか来る)アイドル』」ですよ? とうとう、アイドルがお茶の間に押しかけてくる時代になっちまった!
 キャッチコピーがこれまた良い。『愛に生き、会いに行くアイドル』。言葉の収まりも良いし、何より無駄に壮大。たったこれだけのキャッチコピーで、壮絶な物語が妄想が可能。ヤバイ。
 「地球滅亡直前まで、伝説のアイドルとして輝き続けた『AKB48』」って設定を、無駄にマンガのAKB49の「Beatlesを超えた」って冒頭の設定に繋げて妄想してみたり出来て、ワクテカが止まりませんね。
 実際がどうあれ、今出ている情報だけで判断するなら間違いなく面白いです、AKBアニメ。
 いやぁ、しかし、本当にこの設定考えた人は天才だと思います。ぶっちゃけた話、「AKBをアニメ化する」って言った時のアニメ視聴者層の反応は間違いなく「はぁ? ふざけんなファック」なわけですよ。「お前ら俺らの領域まで土足で踏み込むの? 容赦しねえよ?」みたいな。もう、武器を手に叩く気マンマン。壁どころか、有刺鉄線に電流ながした上で、その向こうに陣取ってるわけです。その壁をぶっ壊してヲタをぶちのめすのは、並大抵の衝撃じゃ無理無理の無理。
 けど、それをスタッフは本気でやろうとしてる。この設定、寒いと思う人間もいるでしょう。けど、確実にヲタの何割かの壁はぶっ壊れましたよ。
 
 商売としてもこのアニメには可能性を感じていて、例えば「楽曲の使いまわし」が平気で出来るという点は、かなりの強みだと感じます。「AKB0048が歌うヘビーローテーション」みたいなね。なんたって銀河最強の伝説的ユニットAKB48の遺志を継ぐユニットなんだから、「伝説のヒットソング」をリメイクして歌ったって何の違和感もありません。
 なもんで、新規曲織り交ぜつつ平気で旧楽曲使える。
 んで、旧楽曲が今までAKBに触ってこなかったヲタ層に認知され、そうすると過去曲がチョコチョコ売れてくる可能性がある。そこからAKBに引っかかれば当然新規層の推しはアニメ声優組になるから、新たな大人買い層を開拓できる可能性すら出てくるわけです。
 当然、あの設定なら戦闘バックにバンバン曲流していけるわけで、曲の認知度はガンガン上がるでしょう。上がらざるを得ない。これでCD(っつーか曲)が売れないわけがない。
 ここら辺は、アイドルマスターが似たような感じでしょうか。アニメのライブシーンやらで曲を流すことによって、今までゲームアイマスに触れてこなかったアニヲタ層が「あれ、意外とアイマスっていい曲あるんだな」と認知>お買い上げというのと同じような感じで。
 ただ、アイマスはアニメとゲームという近い媒体なんで層が結構被ってましたが、AKBファンとアニヲタってほっとんど層が被ってない感じなので、売り上げもガッポガッポですよ。この設定考えた人は本当天才ですよ。ヤバイ。
 まぁ、実際に俺が考えた通りになるかはわかりませんが(何せ素人考えですし)、そういう、売り方っていうんですかね、そういう部分から見ても考察の余地があるというか、楽しめるってのもまたすごい。
 勿論、CDが売れるかどうかは「AKB0048が面白いアニメである」という大前提があるわけですが、少なくとも製作側は「面白いアニメを作ってやる」と本気で思っているでしょうね。
 実写と二次元同時に売り出しというのはラブライブという先例があり、「二次元アイドルグループ」としてはAGC38がありますが、今回の事でAKBが一歩突き抜けて格の違いを見せつけたなーと、漠然とですがそんな印象を受けます。「お前ら、やるならこれくらい突き抜けろや」みたいな。それを可能にする豊富な資金力。世の中金や、金かけた分だけ戻ってくるんや!

 それで、表題の件になるわけですが。
 俺はAKBについてはまったく知りません。三次元アイドルとか興味ありませんし。その実態も、活動も、曲も、何も知らない。だから、AKBの曲が100万枚売れた! なんていっても、「工作乙」としか思わなかった。
 けど、違うんですね。少なくとも「工作によってムーブメントを作ろう」という、そんな浅はかな考えだけで動いているわけでは決してなかった。
 AKBの中身がどう、という話ではなくて。AKBは本当に、「売る」という事に対して貪欲で、本気で「売ろう」としてる。そのことを深く感じました。この貪欲さ、狡猾さ……言い換えれば「熱意」は、俺が普段触れているアニメ、ゲームの界隈では、久しく感じないものでした。
 それが良い、悪い、という話ではなく。
 その隠し切れないほどの「熱意」の前では、業界の垣根など関係なく、我々は蹂躙されるしかないなと、率直にそう感じたのでした。
 AKBアニメ、面白いといーな。