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VividStrike8話 なぜリンネちゃんは負けたのか?

 Vivid Strike7話を見て、個人的な感想の消化を兼ねて。
 当然ネタバレ有りです。
 あと、特に面白いところもオチもないです。
 
 




↓↓↓以下、ネタバレ↓↓↓






 リンネちゃんが負けちゃいましたね。
 個人的な予想では、「ミウラ、ヴィヴィオが勝てばウィンターカップ外でフーカと対戦する」という約束をは、「それを無に帰すほど無慈悲な強さをリンネが見せつける」という、リンネのモンスターぶりを演出するためものだと思っていました。
 ミウラ、ヴィヴィオが傷を負わせてリンネとフーカが対等に勝負できるところまで引きずり下ろして、フーカと対戦。フーカと心を通わせるも、フーカは敗北。最終的に、リンネはアインハルトに負けて決着。
 ヴィヴィオ戦から2話くらいずつ使ってこの工程を消化して、残り1話で後日談……的な話の組み立てを予想していたんですが、普通にヴィヴィオに倒されてしまいました

 まぁ、それはそれで良いんですけど、どうも物語的に納得いかない。
 リンネとの因縁はあくまでフーカにあって、その歩みをヴィヴィオが止めてしまうのは、なんかおかしくないですかね?
 ということで考えていて、行き着いた答えが「リンネとヴィヴィオは対比になっている」「4話の対になる8話」の2点でした。

 まず対比の部分から。
(結構強引な部分もありますが)2人の共通点として、

・生まれが不遇
・良い家庭に引き取られ、家族仲は良好

 という部分があり、対比としては

・家庭以外での環境、友人の差
・生まれ持った才能の差

 が挙げられます。

 次に、「4話と8話」を考えてみます。
 4話は、いじめにあったリンネちゃんが、ゴリラとして覚醒し、同級生(女児)をボコボコにする話で、リンネちゃんの「現在」に繋がる重要な話です。

 なぜ、リンネちゃんの同級生がリンネちゃんをいじめたのか?
 それは、描写が薄いために推し量ることしか出来ませんが、要するに「急に恵まれた金持ちがやってきて、才能をひけらかしてきたので、気に入らなかった」ということでしょう(「リンネちゃんはフィジカルが強かったので、部活で引っ張りだこだった」「すごい金持ちの家に引き取られて、(その気はなくても)見せびらかすように宝石のついたタイピンをつけてた」等)。

 では、8話はどうでしょうか。
 リンネちゃんは、どうやらヴィヴィオのことが気に入らないようです。その原因は、「自分が唯一負けた相手だから」というわけではなく、違う原因があることが、8話の独白からわかります。

8話の独白:
(この子のことは知ってる……エリート公務員の親に育てられて、教会系の名門校にかよって……たくさんの優しい大人たちに囲まれて、何不自由なく育ってきた……生まれつきのお嬢さん
(あなたは格闘技なんてやらなくても……強くなんてならなくてもいいでしょ!)
(帰れる家があって……友達がいて……幸せなんでしょう……?)
(私は違う! 強くならなければ……すべてを失う!

 ここからわかる通り、リンネちゃんはヴィヴィオに対して、「自分とは違う恵まれた境遇なのに、何こいつしゃしゃってきてんの?」という苛立ちを感じているんですね。
 もうおわかりかと思いますが、この苛立ちは4話でリンネちゃんをいじめていた女生徒たちが感じていた苛立ちと、程度の差こそあれ同じものなわけです。

 ヴィヴィオは、決して「生まれた時からずっと恵まれていた」わけではありません。しかし、リンネちゃんはそれを知らない。だから、自分とは違うと相手を妬む。相手を憎む。自分の領域に入ってくるなと拒絶する。
 4話で出てきた女生徒たちも同じだったはずです。彼女たちは、リンネちゃんが孤児だったことは知りません。金持ちの女が転校してき、急に学校でちやほやされはじめた。だから、(方法はどうあれ)妬み、拒絶した。

 4話で心を砕かれ、強者であることを自らの命題とかしたリンネちゃんは、いつしか、自らをそういう場所に追い詰めた相手と同じ存在になっていたわけです。
 そうしたふたりの対決は、ある意味ではフーカvsリンネよりも重要だったのかもしれません。

 ふたりの歩んできた人生は、似ているようで異なるものです。
 そんな、「似ているが決定的に違う人生を歩んできた」ふたりのスタンスが現れたのが、8話の決着のシーンです。

 4話で、「もう、全て終わりでいい」と『覚悟』を決めたリンネちゃん。それは、これまでの周囲とのすべての関係を破壊し、孤独に戻る『断ち切る覚悟』でした。
 それに対して、8話で「私の冬は、ここで終わり」と独白したヴィヴィオの『覚悟』は、『繋ぐための覚悟』。リンネちゃんの心を救うため、フーカへとバトンを渡すため、ヴィヴィオは自らの肉体を酷使してフィニッシュブローを放つ決意をしたわけです。

 Vivid Strikeは「なのは」の名前がついていないものの、同一の世界観の物語です。この世界観では、「誰かと繋がる」「誰かへ受け継ぐ」が「最も強く、尊いもの」とされているわけで、その『覚悟』の差が、勝負の結果に繋がったのかな、と考えていました。

 リンネちゃんは負けてしまいましたが、リンネちゃんとフーカの決着をまだ控えているVivid Strike。最後まで注目していきたいと思います。