・最初に
冒頭は自語りです。そこそこ長いので興味ない方は「※※」までスクロールしてください。
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まずはサラ・レトラ・オリヴェイラ・ウタガワさん、21歳のお誕生日おめでとうございます。去年に続き、誕生日をお祝いできることを、心から嬉しく思います。
さて、ここでは2024年11月11日に行われた、レトラ誕生祭リサイタルにて、そこで語られた「ストーリー」を、私なりに組み立てていきたいと思います。
これから語るストーリーは、本来、こうしてブログに書き残すほどまとまったものではありませんし、人様にお見せできるほど自信もありません。実のところ、私は今回のリサイタルについて、こうした試みを行うつもりはありませんでした。私は考察や解釈は好きなのですが、得意ではないからです。
では、なぜこうしてブログを書き残すことにしたのか?
理由はふたつあって、ひとつは、レトラさんが「曲の解釈は自由に行える」(意訳)とおっしゃっていたこと、もうひとつは、今回のリサイタルで、レトラさんの2曲目のソロ曲、「きみの一等星」が発表されたことです。
「きみの一等星」自体は、個人的には非常にストレートな曲であり、あまり深い解釈を必要としない曲だと思っていました。これは、「曲に深い意味が込められていない」という意味ではなく、この曲の本質的な部分、つまり「孤独を感じる誰かに、「きみは独りじゃない」と伝えたい」という部分にとって、曲自体の細かな解釈は、むしろ邪魔になると考えるからです。
しかし、このリサイタル全体にレトラさんがテーマを設定しているなら、2曲目がここで発表されたことにも意味はあるはず。であるなら、曲を届けていただいた側として、その「意味」について向き合わなければ気が済まないな、と考え直し、こうしてキーボードをカタカタとやることにしたわけです。
11/12日現在、今日の配信でストーリーについての解説が入るかもしれませんが、まあ、間違っていようといまいと「いろいろな解釈がある」とレトラさんが言ったのでね。私は私なりにこう解釈し、ストーリーを組み立てた、という証として書き残しておきます。
どんなストーリーを組み立てるのか? それは人それぞれだと思います。この選曲には、多くの手がかりが残されています。その手がかりを元に、君だけのオリジナルストーリーを作って「きみの一等星」に辿り着こう! これはそういうゲームです。
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
※※
・はじめに
今回のセトリは、次の6曲でした。
・Misty Love 電音部(アザブ)
・アイロニ すこっぷ
・ホントウノワタシ 田中琴葉
・シルエット 田中琴葉
・ハナムケのハナタバ コメティック
・きみの一等星 レトラ
今回のリサイタルに一連のストーリーがあるとして、そのストーリーの主役を、「レトラさん自身」と考えるのは、個人的には少し安易に感じます。そもそも、曲の解釈は千差万別なわけですから、その解釈を「実在する人物」に当てはめるのは、危険で控えるべき行為でしょう。
とはいえ、これまでのレトラさんを知っていると、どうしても「主役」の境遇が、レトラさん自身に重なってしまう部分があるのは事実です。そこで今回は、レトラさんに少し似た境遇を持つ「少女A」がストーリーの主役だということにします。
・構成として
基本的には、過去から順を追い、未来に続くストーリーが語られたと感じました。
各曲はそれぞれ、レトラさんが選んだテーマを元に選曲されているそうです。以下、ひとつずつ見ていきます。
・Misty Love
歌詞
テーマは「未練」。
最初から、非常に激しい、ドラマティックな曲ですね。
正直に言うと、この曲はテーマと歌詞の関連性を見出すが、他の曲と比べてかなり難しく感じました。というのも、他の曲が比較的、「少女Aの内面」にフォーカスされていると感じる一方、この曲の歌詞は、明確に「あなた」に向けられていると感じるからです。
「過去から順を追い」と言っておいてなんですが、この曲を「最も過去」とするのは、少し違和感があります。そこで少し考えた結果、この曲は少女Aの「現在」だと仮定することにしました。
ステージの幕があがり、ひとりの少女が激情を歌い上げる。
激しく、ドラマティックなその歌に、観客は驚き、「この少女は、いったいどんなストーリーを持っているのだろう?」と興味を持つわけです。
そう考えると、このMisty Loveという曲は、少女Aの物語のはじまりを告げるにふさわしいように感じます。
Misty LoveのMistyとは、意味合い的には「霧の中」とか「霧のように曖昧な」、Loveはそのまま「愛」ですから、「霧に隠れた愛情」とか、「曖昧な愛情」という意味になるでしょうか。
この曲からは、長い間、少女Aが自分に向けられる愛情を信じられず、かといってそれを嘘だと拒絶することもできない、「信じたいが信じられない」という葛藤の中にいたことがうかがえます。
少女Aは、自分に向けられる「あなた」の愛情に臆病でありながら、強く「あなた」を求めていました。そして、何らかのきっかけ――歌詞をそのまま受け取るなら、「自分の元から、「あなた」が去ってしまう」という状況に直面するに至って、ようやく、霧の中にあった自分の本心の輪郭に気づいたのでしょう。とうとう、少女Aは「弱い私」と決別し、自分の心に素直になって、前に進む決意をした……そういうストーリーが思い浮かびます。
「あなたの手に触れてからは~甘えていたの」「不意に落ちた涙が~抱えていた」=少女Aが「あなた」と向き合わず、本心を隠し、それでいながら向けられる無償の愛を心地よく感じていたことがうかがえます。
「「あなただから好き」だなんて~私は何も変われない」=決意をした今になっても、少女自身、自分の本心がどういったものなのかを完全には把握していないことがうかがえます。それでも、頭の中であれこれと言い訳していたところで、ずっと自分は変われない、だから一歩前に進むんだという「弱い自分」から変わろうという強い意志を感じます。
「寄り添える今が大切だって気づいた」「心から信じ合えるあなたがいつも側にいて」=「あなた」は少女Aに寄り添う存在であったことがわかります。少女Aも、自分が前を向けるようになったのは、「あなた」がいつでも寄り添ってくれていたからだと気づいています。このことが、「未来」へと繋がっていくわけですね。
・アイロニ
歌詞
テーマは「哀愁」。寂しく、物悲しい気持ちという意味ですね。
ここからは、少女の「過去」に場面が移ります。
歌詞全体からは、少女が多くの機会を与えられ、しかしそれは、心から望んだものではなかった、ということが繰り返されてきたことがうかがえます。例えば、「歌う機会を与えられたけれど、「歌」そのものは必要とされていなかった」とか、そういう感じでしょうか?
「うまくいきそうなんだけど~ドン底まで突き落としてよ」=少女は多くの失望を経験し、表面的にはそのことに慣れ、現実を諦めてしまっています。しかし、心のなかでは何度も期待し、そのたびに失望することを繰り返していて、もう疲れ切ってしまっています。
「答えなんて言われたって~もうわかんないよバカ!」=少女が失望するたびに、周囲は彼女を慰めたり、経験則に基づいたアドバイスを与えます。しかし、そんな言葉は、少女にとっては空虚で薄っぺらいものに聞こえてしまっています。
彼女の悩みは彼女だけのものであって、誰にも理解できません。「わかったふり」をした慰めの言葉やアドバイスは、「誰かの答え」ではあるかもしれないけれど、「自分の答え」ではないと考えているのでしょう。
「散々言われてきたくせに、なんだまんざらでもないんだ」=あとに続く歌詞を考えれば、「難しく考えすぎじゃない?」とか、「もっと割り切ったら?」とか、その類のことを言われてきたのでしょうか?
「簡単に考えたら楽なことも~もう泣き疲れちゃったよ」=少女Aは、本格的に「諦める」ことを覚えます。「現実はそんなものだ」と受け入れ、淡々と与えられた物事をこなし、期待しないで生きたほうが、疲れることもないし、楽だからです。
「きれいごとって嫌い~もう触んないでヤダ!」=ところが、そんな彼女に寄り添う存在がいます。「君」です。「君」は彼女の疲れた様子を心配し、慰めの言葉をかけてくれます。それは「星が僕らを見守って」=「たとえ彼女の努力を、期待を、失望を、悲しみを、諦めを、誰も見ていなかったとしても星は見ているよ、だから無駄ではないよ、いつかきっと報われるよ」というような言葉だったのでしょうか? お前の苦労をずっと見てたぞ。しかし、もう誰かに、なにかに期待することに疲れ、諦めてしまっている彼女は、こう返してしまいます。「(星は)夜しかいないじゃん」。
期待すればまた裏切られる。疲れるのはもうゴメンだ。
でも、本当は諦めたいわけじゃない。優しさを向けられれば、それにすがりたくなってしまう。何度でも期待し、何度でも打ちのめされ、惨めな思いをする弱い自分を認めたくなくて、彼女は「嘘の自分」を演じます。
「アイロニ」が「アイロニー(Irony)」を指すのであれば、それは「反語」という意味を持ちます。ここで語られる諦めや失望、絶望も、「期待したいこと」の裏返しなのでしょう。
「未来」の彼女は、「星」とは実際の星ではなく、彼女に寄り添い、見守ってくれていた「誰か」であることをわかっています。自分もそうなりたいと志した「未来」の彼女は、「星は夜しかいない」と「君」に言ったことを、どう考えているのでしょうか? 本筋とは関係ありませんが、非常に気になりますね。
・ホントウノワタシ
歌詞
テーマは「変化のきざし」。
時間は進み、少女Aにも環境の変化が訪れます。
歌詞の雰囲気から、彼女は以前にいた場所とは違う環境に移ったように感じます。
「「大丈夫、君は強い人だから」と~「じゃあね」って笑った」=新しい環境で、彼女は「強い自分」を演じていることがわかります。弱かった自分のことを、彼女は非常に嫌っています。
「言えない言葉たちで溢れて~変われない 変わりたいのになぜ?」=しかし、人の本質はそう簡単に変わるものではありません。彼女は弱い自分を捨て、変わりたいと何度も強く願いますが、その本質は、自分が嫌っている「弱い自分」のままです。
「小さく「ただいま」~膝を抱いたままで」=たとえ誰かと一緒にいるときに強い自分を演じられていたとしても、家に帰って独りになれば、嫌でも「弱い自分」と向き合うことになってしまいます。
一度そうなってしまえば、もう何もすることができません。暗い部屋の中で、弱い自分への嫌悪感、変われない自分への悔しさと必死に戦いながら、「待ちわびてる 恋(まど)に訪れる光を」=自分が変わるための「きっかけ」を待つだけになってしまいます。
しかし、それでも彼女は、以前の彼女とは違います。「繰り返して 今日より明日は強くなると ずっと 信じてゆける 私だから」=「今の自分を変えたい」という想いが、彼女の中で消え去ることはありません。
・シルエット
歌詞
誕生祭では、この曲はヴイアラ3人で歌われました。ですから、ストーリーを解釈する上でも、その点を反映しなければなりません。
テーマは「復活」。
新しい環境で、少女Aにも仲間ができます。
彼女たちにも、それぞれ抱える悩みや葛藤、弱さがありました。
「誰かの影を重ねるだけ~だって強くもなれる」「ずっとそんなことを繰り返し~怖くなった」(愛夏・宇宙パート)=3人は、とても似た者同士でした。それぞれが「本当の自分」を隠し、「強い自分」を演じていました。
「誰になろうとも~顔を出す」(3人パート)=しかし、3人がいくら「強い自分」を演じていても、部屋に戻ってひとりになれば、今も変わらず「弱い自分」のまま。何も変われない情けなさに涙が溢れ、諦めの言葉を口にしてしまいそうになってしまいます。
「彼女は誰のせいにもせず~きっと闘ってたんだろう」=少女Aは、仲間たちをまぶしく想います。「私はずっと、自分が報われないことの責任を自分以外に押し付けてきたけれど、きっと彼女たちは逃げずに、自分と向き合って闘ってきたんだろう」。
「それは今までに演じてきた~纏う光はとても眩しくて」(愛夏・宇宙パート)=しかし、それは仲間たちにとっても同じでした。彼女たちはそれぞれ、「自分が弱い」と考えています。ですが、それはあくまで主観の話です。
「今の自分を変えたい」と考え、努力を続けてきた彼女たちは、とっくに自分だけの「光」を放っていました。自分で気付かないだけで、少女Aの放つ光も、仲間たちにとってはまぶしいものだったのです。
「誰にならずとも~もっと信じられるの?」(3人パート)=3人は仲間たちを見て思います。「強い自分」を演じなくても、自分は自分らしくあっていいんだろうか? そうなれば、もっと自分を信じることができるんだろうか?
「他の誰でもなくあなたに見つけて欲しい 今の私が纏う光」=少女Aには、「変わった自分」を見て欲しい「誰か」がいました。
「ちゃんと変わりたい~どうか見届けていて」(3人パート)=そして、それは仲間のふたりも同じでした。彼女たちには寄り添ってくれている誰かがいて、その誰かに、自分が自分として一歩を踏み出すその瞬間を見届けて欲しいと考えていたのでした。
「あの日飲み込んだ言葉を伝えに行く 私のまま光るよ」=彼女たちは、失っていた自分らしさを取り戻すため、ふたたび奮い立ちます。伝えたい「あの日飲み込んだ言葉」は、きっと諦めの言葉ではありません。
・ハナムケのハナタバ
歌詞
テーマは「過去との決別」。
正直に言うと、この選曲に意味づけするのは、非常に苦労しました。
まず時間軸的な話ですが、この曲は一連のストーリーの中では「近い未来」に位置するのではないかなと思っています。つまり、このひとつまえに「Misty Love」が入ります。
しかし、そうなると「Misty Love」で「あなた」に対する未練を情熱的に歌い、シルエットでは「私のこと見てて……」などと言っているわりに、この曲ではどう聞いても別れています。え? 別れんの? まあ、言われてみればそもそもMisty Loveで(「あなた」側から)別れそうだったけども……。
この解釈では、聞き手として「あなた」側に感情移入しているので、この急展開に頭がついていかないわけですね。
可能性としては、「そもそもMisty Loveの「あなた」は特定の誰かではなく過去の出来事そのもので、時系列的にはもっとも過去」とか、あるいは「この曲は、いずれ来る「あなた」との別れの場面」であるとか、色々考えられると思います。
ここでは、ふたつのパターンを考えてみたいと思います。
A:別れた(あなたと)
別れました。いや、歌詞的に誰がどう見ても別れている。だってハナムケのハナタバだもん。
「ワタシが見ていた世界~答えが出ない」=何と別れたのか? と考えたとき、順を追って考えていけば、それは「寄り添ってくれていた君」、「あなた」以外いないでしょう。
優しさを信じられず、「嘘の自分」を演じているうちに、かつて同じものを見ていたはずのふたりの世界は、いつしか決定的にすれ違ってしまっていたのでしょうか? 少女Aの心からの言葉も、いつの間にか「あなた」には響かなくなってしまっていました。いくら言葉を尽くしても、「あなた」には、彼女の言葉の真意が伝わりません。
「隠しごとはなしだよ~嘘は下手だったね」=しかし、それでも「あなた」が彼女を想う気持ちは変わりません。「あなた」は今でも優しい。しかし、「サヨナラ ワタシとアナタの世界は もう交わらないけど」=別れはすでに決まったことであり、もうくつがえることはありません。
「頭に浮かんで消える ダメだったワタシ 全部いっそ無かったことに……」=少女の脳裏に、かつての自分が蘇ります。「君」の優しさに寄り添えず、「星は夜しかいない」とそっぽを向いた過去の自分。もしあのとき、素直に優しさを受け入れていれば、また違った結末を迎えていたのでしょうか?
「全然変わらないね~笑えたらいいな」=この別れはおそらく、関係が険悪になったからとか、そういう理由ではないのでしょう。ただ、同じものが見えなくなってしまった。同じ歩幅で歩けなくなってしまった。一緒にいることが難しくなってしまった。だから違う道を往く。そういう別れなのかもしれません。
だからこそ、再会したときには、また笑いあいたいな。そんな淡い空想が頭をよぎるものの、「そんな空想 そっと空に放り投げた」=現実にその機会が無いことは、誰よりも彼女自身がよくわかっているはずです。
「ワタシたちの笑顔を ずっと忘れたりなんかはしないから」「そっとハナムケのハナタバを贈るよ」=どんな結末であろうとも、彼女が自分自身を取り戻し、前に進むことができたのは、他ならぬ「あなた」が寄り添ってくれたおかげだと、彼女はすでに気づいています。道を違えることになったとしても、その事実が消えることはありません。
だからこそ、別れのときには涙ではなく、ハナムケのハナタバを贈ることがふさわしいと、彼女は考えているのかもしれません。
B:別れた(自分と)
別れました。過去の自分とね。
個人的にはこちらを採用したいと考えている解釈です。しかし、この解釈は全体的に、歌い方から受けるイメージを元にした解釈であり、歌詞を元に解釈したものではありません。ですので、論拠が薄いのが難点です。
この曲のテーマである「過去との決別」とはなにか? を考えたとき、それは順当に考えれば「少女Aの過去」になるでしょう。過去は明確には語られていませんが、「アイロニ」時代の彼女を見れば、かつての自分にいい思い出がなかったことは、はっきりしています。
しかし、本当に悪いことばかりだったのでしょうか?
楽しかった瞬間もあったはずです。嬉しかったことも、期待に胸を踊らせたことも、純粋に喜んだことも。そのときの仲間たちと、夢について語り合い、大いに盛り上がったこともあったかもしれません。
これまでは過去に囚われていた少女Aでしたが、ふと思い返してみれば、自分が思っていたよりも、当時の出来事のすべてが悪いわけではなかったと気付いたのかもしれません。そういう風に受け入れられるようになったのは、彼女の心が成長した証でしょう。
しかし、もうあの頃に戻ることはできません。元の居場所はすでになく、以前の仲間たちももういない。かつての自分と現在の自分の道が交わることは、もう二度とありません。前に進むために、過去から抜け出さなくてはならないときが来たのです。
「ワタシたちの笑顔を ずっと忘れたりなんかはしないから」「そっとハナムケのハナタバを贈るよ」=たとえそうだったとしても、かつて自分たちが過ごした毎日は、楽しかった出来事は、決して嘘ではありません。無かったことにはできない、かけがえのない日々。そんな、もう二度と戻らない「過去」との別れに、せめてハナムケのハナタバを。
・きみの一等星
時間軸的には、もっとも「未来」に位置する曲です。
さまざまな人に支えられ、多くのことを経験した少女は、いつしか自分が人を支える側になりました。
「眠い目こすって~ひとりじゃ怖いよね」=少女はかつての自分を思い出し、広い世界の「誰か」に語りかけます。「そうそう、こういうことあるよね」「わかる、それって疲れちゃうよね」と、まるで軽い愚痴でも言い合うように。
「優しく強く一等星みたいに ずっと側にいられますように」=かつて少女は、「星が僕らを見守っている」という言葉の意味が理解できませんでした。しかし、多くのことを経験してきた彼女は、もうその言葉の本当の意味を知っています。
「私が導く光になる」=かつて、暗い部屋の中で膝を抱え、自分が変わるきっかけの「光」を待ち焦がれた少女。そのときの少女は、何にそれを見出したのでしょうか? それがなんだったにせよ、彼女は自分を導いてくれる「光」に出会い、そして今、誰かを導く光になろうとしています。
「孤独だなんて思わないで~全部全部知ってるよ」「だけど弱さをもう隠さないで~全部もうわかってるよ」=少女は知っています。「誰か」が努力していることも、それが報われずに悔しい思いをしていることも、その悔しさを隠して、「効いていないフリ」をしていることも。たとえ直接、目にしていなくても、少女は「そういう人」がいることを知っているのです。そして、そういう人が「誰にも理解されない」という孤独を感じることも理解しています。
少女は歌を通して、星よりももっと直接的に、そういう「誰か」にメッセージを送ります。「私が側にいるよ」という、短いながらも優しいメッセージを。
「強くなれるんだ誰だって 長くて遠い道のりだとしても」=「変わりたい」と願い続け、それでも長い間、変わることができなかった少女。ときには、諦めの言葉を口にしてしまいそうになりながらも、長い時間をかけて変わることができました。だからこそ、「誰でも強くなれるよ」と励ましのメッセージを送ります。
個人的な感想としては、少女にとって、おそらくこの言葉は真実ではありません。「強くなれない」人間も当然います。少女にはそれがわかっているはずです。
しかし、この言葉が真実かどうか、実際に強くなれるかどうかは、大きな問題ではないのです。それは、この曲全体に言えることです。
「塞ぎ込んでみたって朝は来るから~背中押すから」=少女にとって重要なのは、不安なとき、寂しいとき、悔しいとき、苦しいときに、「あなたは独りじゃない」と寄り添うこと。そして、誰かが一歩踏み出す「手伝い」をしてあげることです。
疲れ切って、現実を諦めてしまい、足を止めてしまった人に優しく寄り添い、新しい一歩を踏み出す手伝いをしたい。
それが拒絶されることもあるでしょう。一歩踏み出した結果、上手くいかないこともあるでしょう。「どうして手を貸したんだ」と、恨まれることすらあるかもしれません。
「落ち込んで迷って そんな日もあるけどもう諦めない」=寄り添い、励まし、背中を押すことが、いつも受け入れられ、感謝されるとは限りません。しかし、それでも彼女は諦めません。それが、多くの優しさに支えられてきた彼女の出した「アンサー」なのでしょう。
彼女が答えを出したように、この曲を聞く人も、たとえ少し休んでもいい。しかしいずれは、自分が本当にやりたいこと、成し遂げたいことを見つけ出し、ふたたび歩き出して欲しい。そういう少女の願いが、この歌には込められているように感じます。
以上。